どうも。PP3DPスタッフ「O(オー)」です。
いよいよ夏休みが近づいてきました。いや、もう夏休みなのか・・このブログをアップする時点でどうなのでしょうか?もう夏休み?え?あ、夏休みでした(笑)

さぁ冒頭のボケはここまでにして、今回は同じように思えて「似て非なる」3Dプリンターのお話をしたいと思います。
あつーい夏場に食べたくなる物ランキング1位(俺調べ)はズバリ「そうめん」じゃないですか?みなさん!でも、食卓に出てきたモノをすすると・・・「ん?これ、そうめんにしては太くない??」
なんと食卓に出ていたのは「ひやむぎ」だったのです!いやーっ!マミー!!取っ替えて!!!もっと細いのをすすりたいのぉぉぉっ!!!

これが3Dプリンターの世界でも起きているのです。
怖すぎます・・・

そろそろ真面目な話をいたしましょう。

ご購入時によくあるご質問でこういう受け答えがあります。
お客様  :「この3Dプリンターの積層ピッチはどれくらい細かいの?」
O(オー):「はい、UP Plus2は0.15㎜、UP miniは0.2㎜です!」
お客様  :「かなり精度が細かいですね」
O(オー):「えっ、(絶句)」

・・・そう、「積層ピッチ」と「精度」を同じものと思っている方が多いのです。
まぁ積層ピッチも「精度」の条件のひとつの為、多少影響しますが、それが全てではないのです。

たしかに積層ピッチが細ければ表面は「滑らかに」できます。しかし「精度」とイコールではありません。「精度」とはデータ通りにヘッドが誤差なく稼働するか?フィラメントの押し出し料が適正か?仮に適正に動いたとして機体の剛性はその動きに耐えうるのか?そしてこれらを統括する「3Dプリンター制御ソフト」は優秀か?(ここが大きいポイントで)
他にも条件はあるかと思いますが「積層ピッチ」はこの中の1項目に過ぎません。

「積み上げる薄さ」と「造形の精密さ」は必ずしも=(イコール)ではないのです。

最近「積層ピッチ0.0●を実現!!」等のキャッチコピーが多いですが、これは必ずしも「高精細な造形ができる」訳ではないのです。
表面は滑らかに(それさえ出来ないモノもありますが・・)なるけど、細かいものはできませーん(。・ ω<)ゞてへぺろ♡ ・・という罠に落ちた方々の怨嗟の声をブログなどで拝見しますと、かける声さえ見つかりません。 今回は「UP Plus2」で「積層ピッチ」と「精度」の確認をしてみましょう。 限界値を見ていただくことが造形のヒントになるからです。 まずは「積層ピッチ」からです。 モデルはポピュラーな「塔(ルーク)」です。 左から0.4、0.35、0.3、0.25、0.2、0.15㎜で作成。設定は同じ「サポートなし」「印刷スピード:ノーマル」です。 意外と0.4を作られた方はいらっしゃらないのでは? 時間は左から約35分、39分、45分、52分、1時間18分、1時間50分です。 塔(ルーク)

逆テーパーがかかっている部分は粗いピッチでは上手く積めていません。
(これはサポートをつければ解決しますが、今回は同条件下の検証の為割愛)
ただ垂直に上がる部分の形状は保っているようです。
ただ、積層ピッチ「0.4㎜」の時間に注目してください。
簡単な「形状認識」を目的としたモデル造形を希望する場合、この時間は魅力的です。

(検証0.4 vs 0.15)
塔(ルーク)

積層ピッチが細かくなるにつれ、表面の層も滑らかになり、より造形が細かくできていく状態が見て取れます。
更に言うなら0.2と0.15㎜は、ほとんど差がありません。

(検証0.2 vs 0.15)
塔(ルーク)

弊社で検証したところ0.15㎜の方が「積層」が細かすぎるためクリアランス部分が厳密で遊びがなく、造形が逆に上手くいかない等の例(ボルト・ナット等作ると、ネジ山等キツくなる場合あります)もある為、弊社ではご質問ある場合には0.2㎜を推奨しております。

では「積層と精度の因果関係は?」というところで、塔を上から見た写真がこちらです。

塔(ルーク)

さすがに0.4㎜は荒いですが、以外に「輪郭」や「階段」に大差ないことがわかります。
ここで粗いピッチ(0.4㎜等)の輪郭がガタガタの場合、機器自体の限界が如実に現れるというところでしょうか?

次に単純な「精度」を求める場合、細い支柱を作るとわかり易くなります。
左から5mmπ、3mmπ、1mmπでモデリングしており、左から積層0.3㎜と0.15㎜の違いで作成しています。意外と「積層ピッチ」での差がなく、作った本人も驚きです(笑)

塔(ルーク)

日頃、私はお問い合わせの際、積層式3Dプリンターの「欠点」をお客様にお伝えしております。「細い支柱等、縦に立体的にせり上がる造形は難しい」と。
本来であれば「はい、なんでもきれいにできます!」とお答えして売りつけたい(おい)ところですが、現実は画像のとおりです。

細い支柱の場合、サポートなしでは上に行くに従って積層時に下部分が「ゆれて」しまい、きれいに積み重ねることができないのです。(ただ、1mmπの下の部分は積層ピッチの差なく、きれいに出来ているのは驚きです)

ではサポートをつけるとどうなるのでしょう?
こうなります。

塔(ルーク)

モデルは違いますが、このサポートを外すのは至難の業です。

今回、この実証結果を公開したのは「できること」「できないこと」をお客様にはっきり認識いただくこと目的としました。
検証結果をご覧いただき、ご購入時の判断材料にしていただこうと考えたからです。

ただ闇雲に「夢の機械です!すごいです!」と宣伝しても、ご購入後にお客様が「悪夢」に落ちるのは嫌ですからね(笑)
今回の情報がみなさんのご購入の手助けになれば幸いです。
では、また。

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