愛知工業大学 ロボットミュージアム

今回の導入事例はインタビュー形式で掲載しています。

Q1、お使いの3Dプリンター機種名、使用期間を教えてください。
機種名:UP BOX+
使用期間:2年ぐらい
Q2、3Dプリンターをどのような案件で利用されていますか?(研究テスト、試作など)
本学では、ロボットミュージアムという施設のメカニックラボという共用利用施設に設置し、ロボット関連の研究、クラブ活動で自由に使用できるようにしています。主にロボットの構造部品や外装を作るのに使用しています。本学では人型ロボットやレスキューロボット、サービスロボット、産業用ロボット等様々なロボットの開発を行っています。各種ロボットコンテストにも、3Dプリンターで製作したロボットで出場しています。
フィラメントは大学が無料で提供しており、教員や学生が自由に使うことができます。そのため、ほぼ24時間2台がフル稼働しており、常に利用の順番待ちができています。月にフィラメントを10本以上使用する状況です。
メカニックラボ
Q3、3Dプリンター導入前は、どのように作製していましたか?
学内設備の3次元加工機などによる削り出しや外注
Q4、3Dプリンター導入の決め手、導入後のご感想をお聞かせください。
気軽に直ぐに試作品ができる。複雑な形状でも製作でき、製作コストが安く済むということから導入することとしました。3Dプリンター自体は10年以上前から導入していましたが、高価でランニングコストも高く、有用ではありますが気軽に使用できるものではありませんでした。しかし、近年の急激な低価格化から、その有用性が非常に上がり気軽に使えるようになりました。今では無くてはならない設備に成っています。
Q5、UPシリーズ3Dプリンターに対する感想、今後のご要望などをお聞かせください。
本体価格が安く、学生でも使いやすい。また、ある程度大きいサイズのものができるという点で良い機種だと思います。また、ノズルのみの交換、再利用ができる点も大きなメリットです。UP BOX+導入前は他社の3Dプリンターを使用しており、ノズルとヒーターが一体だったために、ノズルが詰まるとヒーターごと新品に交換するしかありませんでした。しかし、UP BOX+はノズル部分のみの交換で済み、また詰まったノズルも有機溶剤に浸しておけば翌日にはつまりが溶けて再度使用可能と成ります。利用頻度が高く、慣れない学生はすぐにノズルを詰まらせるため、大幅なランニングコストのダウンと成りました。
現在他社のものも含め4台の3Dプリンターを所有していますが、使用のしやすさからUP BOX+の利用頻度が最も高くなっており、他社の3Dプリンターに空きがあっても、UP BOX+の空きが出るまで待つ学生もいます。
要望としては、ベース面が汚くなる(特にABS)ので、綺麗にできると良いです。その点、ガラスボードが使える新製品の『UP 300』には期待しており、新規購入を検討しています。また、ノズルが摩耗しやすくノズル高さが変わってしまいます。摩耗したノズルは捨てていますが、もっと摩耗し難い材質のノズルだとありがたいです。エクストルーダーヘッドのカバーも材質が弱く、注意して扱わないとすぐに割れてしまいます。あと、アプリの変な日本語は直していただいたほうが良いと思います。
色々と壊れやすく、かなりの保守が必要と成っています。大学のような教育機関で使用する場合は、毎年新入生が入り初めて3Dプリンターを使用することになり、どうしても扱いが雑になるため、丈夫であることが重要です。
Q6、水平度や高さ設定の自動化が進んでいますが、まだ難しいと感じることはありますか?
この機種に関しては、水平度の自動調整の機能はすぐに壊れてしまって使っていません。同様の機種が2機ありますが、どちらもすぐに壊れてしまいました。一度は修理を試みましたが、またすぐに壊れました。造形ミスの時に造形物に機構がぶつかるためか、リミットスイッチが外れてしまったり、モータが動かなくなったりと、構造的に弱いと思います。高さ調整はあまり精度が高くないため、こちらも使用していません。現在はマニュアルで調整していますが、慣れないと難しいです。また、頻繁に調整を行わないと、なぜか日がたつにつれて調整が狂ってきます。もっとしっかりした自動調整機能があると嬉しいです。
Q7、弊社(PP3DPストア)に対する、ご意見ご要望がありましたらお聞かせください。
保守パーツの品揃えが少し悪いです。水平調整パーツもそうですし、ホワイトケーブルも使用しているうちに断線してしまうのですが、御社では販売されていないため、他社から購入しています。エクストルーダーヘッドのカバーのみも販売されると助かります。脆いためどうしても学生がヘッドを取り外す時に割ってしまいます。
Q8、差し支えなければ造形物などの写真をご提供いただけますでしょうか?
アームロボット
アームロボット

タイヤパーツ
タイヤパーツ

ロボット外装パーツ
ロボット外装パーツ

ロボット構造部品
ロボット構造部品


PP3DPより:
インタビューにご回答頂きまして誠にありがとうございます。
自動調整の修理問い合わせはかなり多く、特に初期のUP BOXでは自動調整のケーブル断線が頻発しておりました。UP BOX+では同等のケーブルがフラットケーブルになり断線は減ったものの、スイッチ自体の破損はまだまだ報告され、構造的に弱いと言わざるを得ません。
高さ調整もギリギリに設定してしまうことが多い為、あくまで目安としてご案内することが多いですが、新機種のUP 300ではかなり確実な値が出るようになったと感じています。
内部基盤に関わるパーツの販売は、保守期間満了のお客様も増えてきており、お客様の手で修理できるよう保守パーツの販売を現在検討しております。


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